里山創成研究ユニット

国土情報処理工学研究室

里山工学で地域のポテンシャルを活かす

我が国の中山間地域は様々な自然資源を生み出すポテンシャルを持っていながらそれを活かせず人口減少、集落消滅が続いている。GISを基盤とする新しい学問分野「里山工学」を立ち上げ、地域の自然特性、生物多様性、歴史民俗の観点から農林業の見直しを図る。


地理情報システム(GIS)の可能性

GIS(Geographic Information System)を用いて様々な地理情報や歴史民俗情報を集約し、人工衛星やドローンなどのリモートセンシング技術を用いて緻密な自然環境情報を取得することで有用植物の適地性を評価し、土地利用計画を策定・実践することを目的としています。
2016年、高知県香美市佐岡地区において実験フィールドを設置しました。現在、様々な自然環境データを収集しています。森林内部の三次元構造をボクセルモデルによって表現し、微気象を計測するとともに、土壌観測も行なっています。樹木を伐採した後、微気象がどのように変化し、土壌にどのような影響を与えるか、予測する手法を開発しています。
またこの実験フィールドでは、建築系の教員が古民家や社殿の改修を実施したり、土木系の教員が簡易的な石積みの実験を行ったり、様々な研究活動が展開されています。

当面の研究内容

(1) 2012年(平成24)年度総務省戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)による「『救荒植物(災害時食糧備蓄となる植物)』栽培適地評価システムと森林資源をリアルタイムに公開する地域基盤情報システムの研究開発」(代表:高木方隆、共同者:渡邊高志)の研究成果をベースに、経時データの蓄積分析を行います。
(2) 2013(平成25)-2017(平成29)年度文科省科研費基盤研究(A)「地理情報システム利用によるレアプランツのインベントリーと有用性・安全性の評価」(代表:渡邊高志、共同者:高木方隆)により、ネパール、ミャンマー、ソロモンの植物資源の地理情報システム上での集積と分析を行います。
(3) 2014(平成26)-2016(平成28)年度文科省科研費基盤研究(B)「新アグロフォレストリーのための森林・有用植物資源の賦存量の評価・予測モデルの構築」(代表:高木方隆、共同者:渡邊高志)により、低高度空撮レイヤーでのデータ収集と解析を行います。
(4) 2017(平成 29)-2019(平成 31) 年度文科省科研費基盤研究(B)「アグロフォレストリーのための統合ボクセルモデルの構築」(代表:高木方隆,古沢浩)により、地表と地中を含めた自然環境データをボクセルモデルによって表現し、里山の未来を予測できるシステムを構築します。

lupines4_gaiyou

研究室長から

自分自身も里山で生活をスタートさせました。実際に暮らすことで、地域の方々から多くのことを学んでいます。放っておくと、貴重な文化が消えていきそうです。様々な文化を科学と結びつけ、安心して暮らせる里山の再生を目指します。

関連プロジェクト

 
 

関連記事