文理統合による社会シミュレーションと政策・経営ソリューション創造
社会科学と自然科学の統合により、複雑な課題・現象を分析・再現し、将来を予測するとともにソリューション効果を予測することで、実際に社会を経営するための役に立つ学問を目指す。

学術統合の必要性
我々の世界は、気候変動や水資源問題、環境エネルギー問題、少子高齢化や低成長問題、さらには社会基盤の老朽化による安全安心に対する脅威など、さまざまで複雑な課題に直面しています。社会における経営問題や政策課題に対するソリューションを生み出す方法は、学術分野毎に存在しますが、複雑化する社会的課題の再現やソリューション創造は単独学術分野では困難になってきています。個々の学術分野の分別性(分離・個別的な認識)ゆえに、社会の将来にとって重要な依他性(つながり・関係性に目覚めた認識)とその結果としての将来見通しや対応方法にたどり着くことが困難なのです。しかし、たとえ困難でも、真実性(全てはつながり・関係性において存在本来一つであること)から学術分野の関係性を構築することで、ソリューション創造が実現出来ることを示す必要があります。
学術分野は、第一に基礎的な原理に関する研究(基礎研究)、第二に基礎研究の応用研究、第三に応用研究の実装研究に分類されます(右図参照)。ここで重要なのは、実装研究における社会科学と自然科学の統合研究です。実社会と学術、現象と認識を繋ぐtrans-disciplinary および、学術分野を統合するinter-disciplinary を研究体系とすることで、あらたな研究分野の構成・発展に寄与できるのです。

社会マネジメントシステム学
社会マネジメントシステム研究センターでは、地域活性化や事業創造、行政経営や地域経営などの個別的課題を解決するための社会マネジメントシステムの創造により社会貢献を行っています。社会貢献を通じて学術的研究を実践し、その成果を検証することで更に学術的論理を進化させるマネジメントサイクルにより、研究と社会貢献が一体化した取り組みを行っています。
本センターが提案する”文理統合による社会シミュレーションと政策・経営ソリューション創造”は、主として工学、心理学、経済学、経営学の統合により社会現象を再現・分析し、政策・経営戦略の効果を評価することで真に社会が求めているソリューションを創造し意思決定することを目指します。対象とする分野は、これまでの高知工科大学21世紀COE“社会マネジメントシステム学”で研究実績を蓄積してきた災害マネジメント、社会基盤維持管理と安全安心マネジメント、地域エネルギー政策マネジメント、地域活性化経営(産業、福祉)、気候変動適応策です。

センター長から
当センターでは、具体的課題として、①吉野川流域および高知平野における気象学、土木工学、経済学の学術統合研究(気候変動適応技術社会実装プログラム(SI-CAT))、②国内外の地方自治体の道路インフラアセットマネジメントの汎用システム開発・実装(内閣府戦略的イノベーション推進プログラム(SIP))、③市議会の機能強化と目的に対応した行政改革支援(香南市議会)、④金銭量と物理量によるハイブリッド産業連関分析システム開発と地域経済波及効果分析(木質バイオマス事業創造と地域インパクト評価)、⑤喫煙・飲酒と脳の委縮現象の関係性分析と緩和飲料の開発、など着実に成果を出していきます。
関連サイト
▶Society for social management systems
▶【動画】気候変動下における四国の水資源政策決定支援システムの開発:研究者インタビュー (文科省 気候変動適応研究推進プログラム 2013)
▶【動画】農家の人たちと新しい技術を使って地域を活性化していく仕組みを作る (JST 社会技術研究開発センター 2012)
関連プロジェクト
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