令和3-5年度 文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(B)
>科研費(B)による研究開発の概要

研究管理マトリクス
里山・河川・海岸のそれぞれの区域で流砂系の環境劣化が深刻化しています。さまざまな対策が実施されていますが、里山や河川上流域での対策が、水や土砂の移動量を大きく変化させ、河川下流部や海岸の環境を劣化させるなど、部分最適化が全体の最適化につながっていない事例も多く見られます。このような状況となるのは、広域を俯瞰し、社会全体で共有できる目標が設定できていないためです。
本研究では、学術的な課題設定を、「広域流砂系の科学的モニタリング調査により、環境復元の具体的な目標設定手法を提案すること」としました。具体的には、里山コミュニティの財となる森林の健全度評価、支流集水域からの流出土砂の量と質、河道・海岸での土砂移動の長期的な変遷などを科学的に調査・分析する手法を開発し、科学的に計測可能な客観的かつ共通の目標を設定する手法を確立します。これにより、里山・里海の両者を、互いに直接的な影響を及ぼし合う一体的「強結合系」とみなすことで、広域流砂系の持続的かつ総合的な保全を実現することを目的とします。