社会マネジメント研究ユニット

地域交通医学・社会脳研究室

健常脳のビックデータから健康寿命と運転寿命の同時延伸を目指す

脳ドックという日本独自の予防医学から創出される健常脳のビックデータから「交通脳データベース」という新たな概念を提起し、健康長寿と運転寿命を共に延ばして、超高齢社会を活性化する。


脳ドックのビックデータから運転挙動と脳構造との因果律を紐解く

 「運転は脳が司る、だから脳を調べる」と言う研究コンセプトに基づき、脳ドックで得られる健常脳の2万件を越えるデータベースから、脳のMRI構造データ(脳部位容積と白質病変容積)と運転挙動との関係を明らかにします。横断的データ分析から、交通事故歴と大脳白質病変との有意の関連性を既に報告していますが、脳ドックリピーターの縦断的データ分析から「脳と運転挙動」との経時的因果関係の解明が進行中です。  平成29年10月から、高知県の地域中核医療施設である医療法人松田会愛宕病院リハビリテーション部との協働で、認知症疑いの高齢ドライバーを対象にした自動車運転外来を開設しました。認知症疑いの高齢ドライバーに対する認知症診断のみならず、認知リハビリテーションを施行して安全運転能力の向上を目指す新たな試みを高知県警の指導・協力のもとに行っています。リハビリによる脳刺激を行い、高次脳機能検査やドライビングシミュレータ評価のリハビリ前後の変化量とMRI脳データの変化量から、高齢ドライバーの危険運転行動と関連する脳特徴量を見出します。高齢者講習や臨時認知機能検査等における高齢ドライバーの危険運転事故防止の水際で、脳と運転との関係を明らかにする試みでもあります。  さらに、日本損害保険協会の研究助成を受けて平成30年4月から3年間、過疎地域(田野町を中心とした中芸地域)で、高齢ドライバーの運転に関する事案(違反事故、交通事故、免許返納等)を目的変数に、脳を含む生体・健康データを説明変数にするpopulation-basedの追跡調査研究を行います。このコホート調査から脳と運転寿命との関連性が明らかになると期待しています。

 

 研究室長から

生活習慣の乱れで、脳の毛細血管がゴースト化して、白質病変が生じます。白質病変は認知症の危険因子です。できるだけ早い時期に、脳ドックを受けることをお薦めします。脳を知れば、人生が変わります!

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