ローテクとハイテクの融合で地域密着型の”ものづくり”を推進
地域の基幹産業である農水産業から得られる資源は、これまでに生産性の向上を目指した科学技術の導入が行われ、その成果には目覚ましいものがある。しかし、昨今の地域の重要な課題である人口減少の抑制、雇用創出から、これまでの技術開発に加え、新たな技術が求められている。これに応えるべく地域資源に価値を付与することをテーマに、さまざまな分野の先端技術の研究開発を融合し推進する。

地域のニーズに応える
本研究室がめざすのは、ハイテク技術そのものの研究ではありません。高知県の地場産業である漁業、農業、林業、土木建設業、および最近注目されている福祉・介護産業、環境産業などの分野で、ローテク技術の上に自動化、集約化などのハイテク技術を加え、付加価値を高めることによって、他ではできないユニークな、そして人々の役に立つ製品を研究開発することが、本研究室のポリシーです。
本研究室では、地域密着型の“ものづくり”をテーマに、「海水利用関連装置」「福祉・介護装置」「土木建設機械」「環境対策装置」「農業・林業関連装置」の5分野で研究開発プロジェクトを推進してきました。資金や研究開発体制等に恵まれない地元企業の「駆け込み寺」として存在価値を高めていきます。
研究・活動実績(プロジェクト例)
■凍結濃縮システムの研究
加熱すると成分の変質や、香りが損失してしまう液状食品を濃縮するため、液体中の水(H2O)を氷にし、含有成分の品質を損なうことなく濃縮可能な装置の開発に取り組んでいます。
<プロジェクト例>
・2009(平成21)-2010(平成22)年度JST研究成果最適展開支援事業 フィージビリティスタディ可能性発掘タイプ シーズ顕在化に採択
・2012(平成24)-2014(平成26)年度四国経済産業局戦略的技術高度化支援事業に採択
■「スラリーアイスの製造・貯蔵・輸送の研究」(産学官共同)
塩分濃度1wt%以下の塩水からスラリーアイスの製造が可能な装置開発の他、氷充填率(IPF)が一定で貯蔵および輸送が可能な貯氷タンクの開発に取り組みました。
<プロジェクト例>
・2005(平成17)年度JSTサテライト高知の事業に採択
・2006(平成18)、2007(平成19)年度四国経済産業局地域新生コンソーシアム研究開発事業に採択
・2011(平成23)年度日刊工業新聞社「第6回モノづくり連携大賞」受賞
・2014(平成26)年度文部科学大臣表彰「科学技術賞(技術部門)」受賞
■「生鮮食品等の高衛生・鮮度保持に関する新たな冷却媒体生産システムの研究開発」
食品添加物として近年認証された次亜塩素酸を含有した塩水溶液から、スラリーアイスの生成がワンパスで、すなわち貯氷タンクを必要とせず製氷装置からダイレクトに氷充填率25%のスラリーアイスが生成可能な機構の開発に取り組んでいます。
<プロジェクト例>
・2014(平成26)-2016(平成28)年度高知県産学官連携産業創出研究推進事業委託事業に採択
■「生鮮魚介類の鮮度保持システムの研究開発」(産官学共同)
高知県内の水産研究機関、企業との連携を図り、近海漁業で漁獲される魚介類の長期鮮度保持方法の開発に、保存水質と各魚介類の鮮度との関係を調べアプローチしています。
・2008(平成20)年度JST地域イノベーション創出総合支援事業(地域ニーズ即応型)に採択
・2013(平成25)-2015(平成27)年度JST第3回復興促進プログラム(マッチング促進)に採択
研究室長から
本研究室は、主として高知県内の企業とタッグを組み、技術のレベルアップ、新製品・新事業の開発を進めてきました。今後もこの方針を基本としながら、高知県内はもとより、県内外の研究機関・他大学とも共同で技術開発に取り組んでいきます。これまでの研究テーマであるスラリーアイスや海洋深層水に関する研究開発にとどまらず、さまざまな産業における新たなニーズを「ものづくり」の観点からくみ上げ、形にしていきたいと考えています。
関連記事
高知市民の大学で多数の教員が講義を行います- 第81期「高知市民の大学」(会場:高知市文化プラザかるぽーと)で、2017年4月4日~7月21日、毎金曜日18時半~20時に開催される総合コース「きらりと光る高知のものづくり」において、6人の本学教員が講師を務め講義を行... もっと読む »
松本准教授が「省エネ大賞 資源エネルギー庁長官賞」受賞!- 地域連携機構 ものづくり先端技術研究室(室長:松本 泰典 准教授)は、室戸海洋深層水株式会社、四国電力株式会社、一般社団法人日本エレクトロヒートセンターとともに、優れた省エネ活動や先進型省エネ製品などを表彰する「平成28... もっと読む »
第4回高知を盛り上げるアイデアソンに松本准教授が登壇します- 12月11日に永国寺キャンパスで開催される「第4回高知を盛り上げるアイデアソン(株式会社オルトプラス・高知県共催)」に、地域連携機構 ものづくり先端技術研究室長・松本 泰典 准教授が登壇します。 本イベントは、高知県と協... もっと読む »
土佐市「子どもの夢創造プロジェクト」を行いました- 土佐市立高岡中学校、土佐南中学校、戸波中学校の2年生 約200名が10月21日、27日に、地域連携機構ものづくり先端技術研究室(室長:システム工学群 松本 泰典 准教授)を訪れ、ものづくりや科学の楽しさに触れる体験授業を... もっと読む »
第1回 Drink JAPAN(6/29-7/1)に出展します- 6月29日~7月1日の3日間、東京ビッグサイトで開催される「第1回Drink JAPAN(ドリンクジャパン)-飲料・液状食品 開発・製造展-」において、システム工学群 兼 地域連携機構ものづくり先端技術研究室長 松本 泰... もっと読む »
【NHKワールドTV(Biz Buzz Japan)】スラリーアイスが紹介されます。- システム工学群 兼 地域連携機構 ものづくり先端技術研究室の松本 泰典 准教授と株式会社 泉井鐵工所が共同開発した「塩分濃度1%のスラリーアイス」の鮮度保持に関する内容が、6月24日(金)に放送されるNHKワールドTV... もっと読む »
【NHKワールドTV】塩分濃度1%のスラリーアイスが紹介されます。- システム工学群 兼 地域連携機構 ものづくり先端技術研究室の松本 泰典 准教授と株式会社 泉井鐵工所が共同開発した「塩分濃度1%のスラリーアイス」。 魚が凍らない-1℃と魚体の浸透圧に近い塩分濃度の実現によ... もっと読む »
松本 泰典准教授がセミナーにて講演します。- 土佐経済同友会および高知県産学官民連携センター主催の「土佐経済同友会オープン・セミナー 産学官民連携シリーズ2with ココプラ」にて、下記のとおり、地域連携機構 ものづくり先端技術研究室の松本 泰典准教授が講演いたしま... もっと読む »
ものづくり先端技術研究室の研究成果が「第4回ものづくり総合技術展」にて紹介されます。- 10月29日(木)~31日(土)の3日間、高知ぢばさんセンターにて開催される「第4回ものづくり総合技術展」にて、地域連携機構 ものづくり先端技術研究室室長 松本泰典准教授が県内企業と共同開発したスラリーアイス製造装置や凍... もっと読む »
松本泰典准教授「平成26年度 四国地方発明表彰 日本弁理士会会長奨励賞」を受賞- 地域連携機構 松本泰典准教授、株式会社泉井鐵工所および日新興業株式会社が開発したシャーベット氷製造機が「平成26年度 四国地方発明表彰 日本弁理士会会長奨励賞」を受賞しました。 本賞は、各地方における発明の奨励・育成を図... もっと読む »