地域連携機構 活動総括連続セミナー(第11回)を開催しました

地域連携機構では、公立大学法人第一期中期計画の最終年度をむかえるにあたり、設立からこれまでの活動を総括するため、地域連携機構各研究室の研究・実績の成果や課題をめぐる連続セミナーを開催しております。

11回目(最終回)となる今回は、下記の内容でご講演頂きました。

日時:2014年12月16日(火)13:10~14:40
場所:高知工科大学 K棟3階K-HALL
講演内容:
朴 啓彰 地域交通医学研究室 室長/客員教授
「脳ドックから創出される医工連携研究―高齢化社会のモビリティマネジメントと健脳ドリンク開発―」

講演では、高知検診クリニックで10年にわたり脳ドックの検診をおこない、これまでに蓄積してきた延べ30,000人分のMRIデータを利用して行ってきた研究事例について、ご紹介頂きました。

まず、脳ドックは日本で独自に発展普及した予防医学分野であり、全国に246の脳ドック学会認定施設があるという世界最大級のMRI保有国です。ここで得られる多数の脳データは、従来の脳研究少量のサンプルで個人差を排除した研究しかできなかったレベルを超えて健常人における脳の個人差を扱う疫学的な社会脳研究を可能にしました。

脳の個人差は、脳萎縮の程度と白質病変の有無に表れます。脳萎縮とは脳の中心部の脳室と脳の表面部の脳溝・硬膜下腔とが拡大することで脳容積が減少することであり、白質病変は大脳の神経線維が集まった白質部の微細な動脈が死滅することで生じる細胞隙間のことです。白質病変は加齢に伴い増加し、軽微な白質病変も含めると健常中高年者の約30%以上に、高齢者では約60%以上に見られるという報告もあります。

高齢者において、広範囲の白質病変は脳高速や認知症のリスク因子であることが知られていますが、健常中高年の軽度の白質病が、高次脳機能にどのように影響を及ぼすかは、ほとんど調べられてきませんでした。実はこの高次脳機能が端的に表れるのが自動車の運転行動です。白質病変の場合、CRT運転適性検査などのマルチタスクをこなす課題で成績が低下することが実験的に明らかとなりました。2011年からは脳ドックの受診者を対象に交通事故歴のアンケート調査を行い、交通事故と白質病変との関係を明らかにすることに取り組み、交通事故のタイプを駐車場での事故、交差点での事故、追突、その他の4つの分類し、白質病変の程度を、ゼロから重度まで4段階に分けそれらのクロス集計をおこなったところ、交差点での事故と白質病変との間に有意な相関が認められました。この研究成果をDTA(Deiving Ability Test)開発に用い、来春から、運転能力の自己診断ツールとして採用されることが決まっています。

次に、脳萎縮の原因は喫煙と飲酒が大きいと考えられています。本年度より、飲酒による脳萎縮を軽減する健脳飲料の研究開発が、酔鯨酒造株式会社を代表として、高知高知県立大学、高知県工業技術センター、本学の4機関でスタートし、高知の特産である食品を使った飲料の開発が行われることになっています。

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