プランツ・インキュベーション2

「プランツ・インキュベーションコース」:第2回 入門講座

日 時:2012年2月 4日(土) 13:00~16:00

場 所:高知県工業技術センター5階 第三研修室

講 師:ロギール・アウテンボーガルト/渡邊高志

[プログラム]

①あいさつ/講師紹介,②第1部,③第2部,④第3部

講師:ロギール・アウテンボーガルト氏

講師:ロギール・アウテンボーガルト氏

【第1部】
講師(Lecturer):ロギール・アウテンボーガルトRogier Uitenboogaart /かみこや 代表
内容:日本の伝統工芸と土地の材料
1. 当時の日本と和紙
2. 紙の材料と強度
3. 作品づくり
4. 紙をつくる土地

【第2部】
内容:紙の歴史と和紙の原料
5. 紙の歴史
6. 紙の原料
7. 紙ができるまで
8. 道具の話し,道具に使う植物

【第3部】
講師:渡邊高志 /(公)高知工科大学地域連携機構補完薬用資源研究室・教授
内容:植物の基礎知識
1. 世界の植物
2. 紙の原料について
3.漢方医学,中医薬,アーユルヴェーダ
第1回 入門講座
本講座は植物を学ぶにあたっての基礎知識を学ぶカリキュラム内容1)~8)になります。1)当時の日本と和紙,2)紙の材料と強度,3)作品づくり,4)紙をつくる土地,5)紙の歴史,6)紙の原料,7)紙ができるまで,8)道具の話し,道具に使う植物。講師のロギール・アウテンボーガルト先生による和紙WASHIとは何か?という問いかけから始まり,オーガニックペーパーの本質に迫ります。講師のロギール・アウテンボーガルト先生は,梼原町で「梼原和紙&紙漉体験民宿かみこや」を営んでいます。先生の奥様と息子さんと研修生が1人います。山の中で暮らしながら和紙をつくるということは「どういうものなのか」を探りながら作品づくりをしているそうです。

オランダから日本に来たばかりのときは日本語が全然しゃべれなかったそうですが,東京に暮らしていた時にはすぐに話しかけてくれる方がいたので,そういう親切なところが日本のいいところだという感想を述べています。まず初めに先生は,日本に点在する紙すき屋さんのリストを手に入れ,いろいろな紙すき屋さんを巡ったそうです。福井,鳥取,京都,沖縄にも行ったそうです。彼は日本で最初に伺った紙すき屋さんの方に,和紙にとって大切な知恵を教えていただいたそうです。講義の中では,そんな彼の植物との交流を通してオーガニックの身近な疑問について対話方式で説いていきます。

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Rogier Uitenboogaart ロギール・アウテンボーガルト先生{日本語カリキュラム内容1)~8)と対応}
1. Why Kamikoya inYusuhara, is located at the origin region in Shimanto River?
2. Mountain life can be cool.
3. Air ,water climate influence the washi craft and lifestyle.
4. Washi works
5. Learning through experience as Workshops
6. Why is Washi so beautiful?
7. How did the technology and culture of making paper come to Japan?
What is“ real” organic Washi?
Let’s show Machine-made-paper, Hand-made-paper, Washi, and Washi-fu for Paper samples.
Traditional Washi, making“ Step by Step”
8. How is Washi made traditionally?
What is organic paper in Washi culture?
Washi, making process”step by step” using Kozo (Broussonetia kazinoki × B. papyrifera) and Oriental paperbush as Mitsumata (Edgeworthia papyrifera) in Japanese.
9. Hard labour: Harvesting and steaming the fiber.
10. Using wood for fuel seems most natural. Precize and clean work is needed.
11. Boiling and sun bleaching / no chemicals used
12. Don’t need machines!: Hand beating / pounding of the fiber and nagashisuki.
13. Pressing and drying
14. “Magic power plant ”: Aibika as Tororoaoi (Abelmoschu manihot )in Japanese.
15. History of paper-making related to local available fiber materials.
Every region had it’s own natural paper fiber.
History repeats itself again.
16. Materials of paper Look back upon 2000. 紙の原料2000年をふりかえって
17. Woods decreased for agriculture, industry, energy, and paper.
18. About Reduce – Reuse – Recycle
19. Let’s prize paper and protect woods!
(渡邊記)

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【受講者の感想】
○講義第1部の感想
第1部では最初にロギール先生の修行時代の話しを聞きました。ロギール先生の昔話には,日本の話しがほとんどなのですが,オランダ人のロギール先生から日本の昔の話を体験談として聞けることに新鮮さを感じました。とても興味が沸き,凄く貴重なことだと思います。そういうロギール先生は,今はオランダ人ではなく梼原人になっているそうです。修行時代は,まず原料を作るところから始め,自給自足の暮らしをしていたそうです。

話しの中で「自然農法 わら一本の革命」という本が紹介されました。著者は福岡 正信(ふくおか まさのぶ,1913年2月2日 – 2008年8月16日)さんで,自然農法の創始者だそうです。私も含め,日本ではあまり知られていないようですが,アジアやアフリカなど国家予算をつけて農法を学ぶ国もあり,海外でも実践されています。また,粘土団子と呼ばれる様々な種を100種類以上混ぜた団子によって,ギリシャ,スペイン,タイケニア,インド,ソマリア,中国,アフリカなどの十数カ国の砂漠の緑化を行おうとしました。略歴を見ると高知県農業試験場(現・高知県農業技術センター)に勤務されていたそうです。

ロギール先生は現在紙漉体験民宿を始め,ものづくりの原点を見たい人々が,国内外から泊まりにきています。私も何度か宿泊させて頂いたことがありますが,とても気持ちいい場所です。授業では,4種類の和紙のサンプルが配られました。4種類のうち,ロギール先生が漉いたものは1種類で,3つは化学薬品が使われているため,だんだん朽ちるのに対し,ロギール先生の漉いた和紙は化学薬品を使っていないので1000年経っても朽ちません。実際に破いてみてもロギール先生の紙は強く,繊維が切れにくかったです。最近は環境問題や,シックハウスの問題をうけて,紙に興味がある人が増えているそうです。特に女性の中に興味を持つ人が多いのですが,和紙造りは体力勝負な面があるので,なかなか辛いことも多いようです。たしかに実際に素材を植物からつくるとなると大変だと思います。

和紙の産地は全国に点在していますが,有名な和紙は,「越前和紙(えちぜんわし)」「美濃紙(みのがみ)」「土佐和紙(とさわし)」とされており,3大和紙産地と呼ばれています。和紙は高知の大切な特産品です。元々物造りは,素材づくりから始まります。和紙は現在でもそうした素材造りから物造りを学べます。和紙は山と川と,沢山の働き手があって出来上がります。しかし現在では過去に作られた原材料が売れずに残ってしまい,原材料が売れない時代になってきています。原料を作ってくれる人が居なくなると文化も廃れてしまいます。とても重要な問題です。また,最近100円ショップで安い手漉き和紙が増えてしまったことも問題です。それが本当に和紙なら問題無いのですが,タイやインドで作った紙が和紙として売られてしまっています。
オランダの紙は道具を見て,日本は紙から山の自然を見るという違いがあるそうです。和紙の話しでは,道具の話しが出て来ました。僕は道具というものが大好きです。紙を漉く,圧縮する,乾かすといった行程で必ず道具が必要になります。こうした道具を作る職人が技を受け継ぐことも大切だと思いました。

休憩タイム 14:05(10分休憩)

○講義第2部の感想
第2講義は歴史の話しを聞きました。紙の無い時代,木の葉や,樹皮,石や動物の皮に文字を書いていました。紙が登場するのは紀元前2世紀頃で,今の中国で発明されたと考えられています。しかしこの時は,麻のボロきれや樹皮などを使っていました。その後製紙法は,西アジアに伝わり,エジプトや地中海沿岸を経てヨーロッパに伝わります。日本に伝わるのは7世紀です。当時と今の伝達の時間差に驚きます。調べてみると当時の和紙は高価だったため「古紙の漉き返し(リサイクル)」が行われていました。その後,1840年に木材を使った製紙法が発明されて以来大量に使用されるようになりました。私は,紙は産業や学問の発展に紙は大きな貢献をしたと思います。現在はデジタルベースの書籍も増えていますが,まだまだ紙ベースの書籍や印刷物が大きな役割を果たすと思います。

休憩タイム 15:15(10分休憩)

○講義第3部の感想
第3部は渡邊先生の講義でした。ほとんどの植物は花を持っているそうです。今日は植物のつくりを図解して頂きました。花の構造や花の付き方,果実の形など,色,形,さまざまな姿をしている植物もある程度パターン化して分類することができます。根の作りも様々で,とても興味深いです。現在,地球上にある生物は170万種で植物はそのうち20〜30万種だそうです。こうした数多くの植物の系統と分類法を決めたのが,分類学の父と称されるリンネです。リンネは生物の学名を,属名と種小名の2語のラテン語で表す二名法を創りました。

リンネの名前は植物の学名の最後に命名者として「L.」と記されています。私はずっと短くて良いなと思っていました。しかしこのたった1文字の略称が使用できるのはリンネのみだそうです。

話しの最後に漢方医学の話しがありました。勘違いしていたのは漢方とは日本固有の医学だそうです。もちろん大陸から渡ってきた知識が基礎になっていますが,私はてっきり日本の物ではないと思っていました。中国の場合は中医薬と呼ばれています。日本に渡ってくる時に漢方と呼ばれるようになったそうです。その他にもインド大陸の伝統医学,アーユルヴェーダの話しがありました。こうした伝統医療の考え方の根底には共通した考え方があるそうです。言葉はそれぞれ違いますが,体が冷えている人にはスパイスなど身体を温めるものをとるといい。体が熱い時には青汁など冷性のある食品を口にするといったことが基本的な考え方です。また,年齢によって温めた方がいい時期や悪い時期もあるようなので,複数の経験医学を統合させながら,個々にあった食べ物に対する考え方が提唱できると面白そうです。紙が生まれてから日本に伝わるまでに何百年もかかっていますが,今の時代なら数日で伝わるでしょう。そういう時代だからこそ,複数の医学を統合させるような新しい取組みができそうだと思いました。

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