プランツ・インキュベーション1

「プランツ・インキュベーションコース」:第1回 入門講座

日 時:2012年2月1日(土) 13:00~16:00

場 所:マルニ高知店2F COMOサロン

講 師:John Moore/ 渡邊高志

[プログラム]

①あいさつ/講師紹介,②第1部,③第2部,④第3部

ジョン・ムーア氏(John Moore Associates代表)

ジョン・ムーア氏(John Moore Associates代表)

【第1部】
講師(Lecturer):John Mooreジョン・ムーア/JMA代表(John Moore Associates)
内容: What’s 100% Organic ?
1. 100%オーガニックはどこまでできるの?
2. コンパニオンプランツについて
3. 昆虫と植物の関係
4. 種の本質

【第2部】
講師(Lecturer):John Mooreジョン・ムーア/JMA代表(John Moore Associates)
内容: What is organic essence?
5. 植物との関わりの中で,光とはなに?
6. 在来種について

【第3部】
講師:渡邊高志 /(公)高知工科大学地域連携機構補完薬用資源研究室・教授
内容:オーガニックの基礎
1.有機ハーブの栽培と生産までの道のり
2.地球環境の指標としての土壌の話し

第1回 入門講座
本講座は植物を学ぶにあたっての基礎知識を学ぶカリキュラム内容1)~6)になります。1)100%オーガニック,2)コンパニオンプランツについて,3)昆虫と植物の関係,4)種の本質,5)植物と光,6)在来種について。講師のジョン・ムーア先生による100%オーガニックとは何か?という問いかけから始まり,オーガニックの本質に迫ります。ジョン先生の祖母は,絶対に売店で食べ物(農産物)を買わない女性とお聞きしました。彼のお母さんは全ての農産物を自分の畑で作っていたそうです。畑は小さいスペースですが,必要な野菜はそこから全て採れ,季節や日陰,陽の向き,コンパニオンプランツ,さらにどんな虫がくるのか把握し,肥料を使わず全て自然の力で植物を育て,それらを収穫し食卓に出してくれたという大切な話があります。彼のお母さんはハーブをブレンドして売っていました。多くの人が彼女のハーブを買いに来ます。何故かというと,彼女は「この人にはこのハーブとこのハーブをブレンドするといい」というのが,見ただけで分かるとのこと。ジョン先生自身も自分で栽培したハーブを売って大学3年間の学費を稼いだそうです。今まで何十年も,農家の多くの人たちは農薬を使ってきました。私たちはその農薬を使った野菜を長年にわたり食べてきました。このままでは,私たちの子供や,今の若い世代から,次の世代にまで体に悪い農薬が受け継がれてしまいます。ジョン・ムーア先生の生き方のルーツは,生まれ育ったアイルランドに住むお母さんの大きな影響があるのです。講義の中では,そんな彼の植物との交流を通してオーガニックの身近な疑問について対話方式で説いていきます。

受講者のみなさん

受講者のみなさん

John Mooreジョン・ムーア先生{日本語カリキュラム内容1)~6)と対応}
1. WATER: In Tosa is cleaner than the rest of Japan. Is it safe? Organic? Is rain water clean?
2. H2 O: This molecular structure makes water elastic.
3. PET BOTTLES: Human`s created a worldwide mess with PET bottles. False cheapness that our grandchildren will pay for and not us!
4. TAP WATER: This is 500 times cheaper than bottle water, but is tap water safe recently?
5. SOIL: What is organic? Natural balance of bacteria makes organic soil, humans are not smart enough to create that balance. We are too young on this planet.
6. ORGANIC IS HEALTHY: Healthy soil means healthy plants, healthy life.
7. INVISIBLE IS MOST IMPORTANT: People and plants, it is the invisible that is most important, the roots and not the face.
8. ROOTs LIVE TOGETHER: Nature is a whole, not parts. It does not live alone. Roots feed each other, create food for plants and soil and insects.
9. BACTERIA: Is the secret to healthy roots and food plants. Each plant attracts a different unique balance of bacteria for optimal growth and this is the base of companion planting.
10. AS ABOVE: So below and this tree shows the root life is at least the same as the leaf growth.
11. Beans and Peas: Increase nitrates and food content in soils, natural fertilizers.
12. Companions: Assist each other to grow healthier when planted next to each other, just like good human friends. Smell, shade, insect attraction or repulsion.
13. PLANT: At all levels plants attract each other or fight each other. In a small garden space or large farm this is most important in growing healthy good food.
14. Insects: 80% of insects are your friend in your garden
15. Humans LIMIT: Our eyes only see a small spectrum of light. But we think we should make decisions based on this limited input!
16. INSECT EYES: They see the ultra violet light rays the human eyes cannot see.
17. PLANTS ARE LIGHT: Red light and blue light, they reject green light and that`s why we see leaves as green.
18. MOONLIGHT: The moon and sun cycles are so important in the balance of light they give to plants to grow them. When we eat a leaf, we are eating light. The quality of light that grew that plant.
19. ORGANIC: We are eating light, taking a balance of light into our bodies. So we must grow plants and dry our leaves with this in mind. Not using chemicals is only the first step. Real organics is much more.
(渡邊記)

渡邊高志教授

渡邊高志教授

【受講者の感想】
○講義第1部の感想
今日から,新しいプランツアカデミーのコース,インキュベーションコースが始まりました。初回はジョン•ムーア先生の授業でした。昨年もジョン先生の講義を聞かせて頂きましたが,ジョン先生の問いかけにはいつも強いメッセージがあります。冒頭の話しでペットボトルの話しがありました。「今のペットボトルジュースは150円で買う。でもそれは本当の値段ではない。次の世代の子供たちはそのつけを払わないといけない。」考えさせられます。私もペットボトルのリサイクルには疑問があります。今のペットボトルはほとんどリサイクルされていないと聞いた事があります。その理由はリサイクルした時の方がおよそ7倍のエネルギーを使うからです。これでは本末転倒です。もちろん家庭からリサイクルごみ分別された場合やコンビニやスーパでの回収もされているので,全てと一概に言えないと思います。リサイクルについて調べれば調べるほどに,頭が混乱してきます。その原因は情報の混乱です。というより情報操作されている気になります。ペットボトルのリサイクルには年間で推定600億~1000億円の予算が使われています。いろんな利権が絡み合っているのでは無いでしょうか。リサイクルというと,綺麗なイメージがありますが,そのイメージを使って汚いことが行われている気がします。こうした間違ったリサイクルの現状を見ていると,正しい方法を模索できない理由は「誰も自分でリサイクルをしたことがないから」ではないでしょうか。木も落ち葉を自分でリサイクルしたりはしません。もし,リサイクルすることが合理的ならば,リサイクルをしている生物がいてもおかしくないと思います。しかしそんな生物は聞いた事がありません。ですが,大きな循環サイクルの中でなら可能だと思います。もしくは,リサイクルではなくリユースし続けるシステムがあればいいのではないかと思いました。

ジョン先生は,自分でやってみることを大切にしています。それは自分でやってみて感じた事を大切にしてほしいからです。 ジョン先生は種を混ぜて撒くそうです。ソバは,深い地中から栄養を集めてくれて,根っこの周りに微生物を集めます。その根っこの周りで,微生物は土に栄養をつくります。そうして地中の中で循環したエネルギーのサイクルが起きています。ほうれん草とジャガイモは別の栄養と微生物を集めるので,一緒に育つ事ができるのです。こうした共生しあう植物たちをコンパニオンプランツと呼びます。コンパニオンプランツは隣に置くと互いを高めあってくれ,仲良く育つ植物を言います。その中で特にジョン先生が結婚したという大好きなマリーゴールドの話でした。ジョン先生の庭の話しを聞いているとジョン先生自身もコンパニオンプランツの一つとして一緒に生きているように感じました。その庭や畑にいる80%の虫は植物の友達だそうです。虫は虫を食べてくれます。残りの20%の虫だけが悪さをします。しかし,そうした悪さをする虫は鳥が食べてくれます。

話しの中でジョン先生が「人間の考え方はおかしい。作っている植物や野菜は自分のものだけじゃない。虫や鳥や隣のおじいさんのものでもあるんだ!全部自分のものだと思って作る事に無理がある。この星は1つしか無い惑星。全部自分のものだなんていう考え方自体が不可能です。100%自分の物として得ようとするから薬に頼ろうとする。」という言葉に感銘を受けました。たしかに話しの通じない虫や鳥から畑のものを100%守ろうとすると,対抗策として農薬に頼らないといけません。それは自然なことではありません。自然の利を活かして向き合う事が大切だと思います。

休憩タイム 14:05(10分休憩)

○講義第2部の感想
第2部では光と植物と虫の話しになりました。私たちが目にしている光は可視光線と言って,太陽の光や闇夜を照らす光など,私たちが物を見るために目に入って明るさを感知させる波長です。この可視光線は,波長380nm~780nm(ナノメートル)で,可視光線以外にも紫外線:~380nm(肌が焼ける波長),近赤外線:780nm~2500nm(物を温める波長),遠赤外線:2.5μm~220μm(物を温める波長)などがあります。そうすると私たちが見ている光とはごく一部の波長でしかありません。また,虫や鳥の目と私たち人間の目とは大分かけ離れています。ハチが飛び回って花を探すのが上手いのは何故か疑問に思って調べてみると虫の視力は人と比べるとかなり悪く,0.1にも満たないそうです。それでも花を見つけるのが上手いのは,花の多くは中央部分で紫外線を吸収し,昆虫も紫外線を感じる目を持っているからです。植物は紫外線の反射と吸収を上手く使い分ける事によって,昆虫に分かりやすいサインを出しているのです。また植物が緑色をしているのは「光合成を行うために,長波長(赤)と短波長(青)の色を植物は使っていて,緑を使っていないから,反射される緑の光の波長を人間が見て,緑だと思っている」という話しが興味深かったです。今まで色を波長だとか,吸収といったことでは考えていなかったので,新しい見方ができるようになった気がします。例えば花を認識するために,可視光線外の領域もカバーして測定できれば,より高い精度で花を特定できるのではないでしょうか。植物は,光なんだよ!という話はとても新鮮でした。
ジョン先生の哲学は,なぜ,なぜ,なぜ,そしてなぜと問いかけ,自分で考えることを大切としています。考え抜く事で本当のことが見えてきます。リサイクルについて調べる中でも,よりよい社会のことを考える上で,「なぜ」という問いかけはとても重要だと思いました。

休憩タイム 15:15(10分休憩)

○講義第3部の感想
第3部では渡邊先生の話を聞きました。自然は土を1cm作るのに100年を要するそうです。そうすると畑にはだいたい30cmの深さが必要なので,自然な畑作土壌が形成されるには4500年も必要です。ものすごい年月です。また土壌には,細菌,放線菌,糸状菌,藻類,原生動物,線虫などが含まれています。実に多くの生物が生きています。畑の土壌1g中には約1億以上の微生物がいると言われています。その重量は土壌の0.5%にもなるそうです。畑の土壌を1掴みすれば地球上の人口と同じぐらいの微生物がいることになります。こんな小さな世界に広大な世界が広がっています。興味深いです。微生物に関して調べてみましたがいまいち,ピンとくるような資料が見つかりませんでした。しかし,調べるうちに微生物だけでなく土壌動物など,土をつくるために不可欠な生物は沢山いて,興味深い分野だと思いました。今回,リサイクルについても考えたので,こうした自然がもつ分解機能を上手に活用して,ミミズや団子虫などを含め土壌動物や微生物をうまく育て,森を育み,土を肥やし,食物を作るような自然のサイクルで行う生産が,もっと分かりやすく,提唱していけないものか考えました。人間が作る物が土壌動物と微生物に分解できるものであって,もしできないのならリユースするという循環可能な生産が望ましいと思いました。そう思うと,本当のリサイクルとは人間のことだけではなく,地球全体を通して考えなければ環境に優しいなどとは言えないと思います。

人が作ったリサイクルの概念では,矛盾を偽装しやすいので,現在の間違ったリサイクルに問題定義を与える意味でも,こうした自然の循環サイクルを基軸にした,新しいエコスタイルの提案ができればいいのではないでしょうか。

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