オーガニックアドバイザー4

オーガニック・アドバイザー認定講座:第4回

日 時:2012年1月28日(土) 13:00~16:00

場 所:高知県工業技術センター5階 第三研修室

講 師:渡邊浩幸,渡邊高志

[プログラム]

①あいさつ/講師紹介,②第1部:特別講義第4回,
③第2部:特別講義第4回,④第3部講義(後半:試験問題練習

1部特別講義(第4回)講師:渡邊浩幸(高知県立大学健康栄養学部健康栄養学科・教授)
題目「食品と健康について」講義の内容は,下記の通り。
1.食品とは, 2.栄養素の機能, 3.栄養とは?栄養素とは?, 4.雑食の人間には、栄養素の偏りができる, 5.栄養の営みには、栄養素以外のものも必要。

2部特別講義(第4回)講師:渡邊浩幸(高知県立大学健康栄養学部健康栄養学科・教授)
題目「食品と健康について」講義の内容は,下記の通り。
1.栄養素の基礎知識,2.出生体重と関連して発症する疾患,3.朝食の欠食率,4.サプリメントとは?,5.薬の働き?食品の働き?,6.食品の機能性 ,7.法律で規定されている機能性食品,8.栄養機能食品と、その表示,9.特別用途食品,10.特定保健用食品とは、その適応範囲,11.これからのトクホ。

3部第6講(第4章) 講師講師:渡邊高志 (高知工科大学地域連携機構・教授)
「その他のオーガニック商品-ワイン、化粧品、アロマ、繊維製品などの安心安全について」の基礎知識を学ぶ講義の内容は,下記4‐1)~4‐5)になります。4‐1)オーガニックワイン、有機清酒,4‐2)オーガニック・コスメティック,4‐3)オーガニック・コットン,4‐4)オーガニック・アロマ,4‐5)有機空間。

受講者は,高知県立大学健康栄養学部の渡邊浩幸教授による特別講義として「食品と健康について」を聴講することで現在日本人が抱えてる食育の問題とこれからの食産業の取り組みについて,地中海式料理を高知県の土佐料理に例え講義を追加することでオーガニックアドバイザーとしての素養を高める試みを行う。第3部の講義では講師による第4講~第5講(第3章‐②、③)の基礎知識を基に講義をすることで,理解度を深めて行きます。本講義は,農林水産省と厚生労働省との縦割り行政の中で抱える問題を「有機清酒」を例に挙げ,有機JAS農産物との違いについて受講者に解り易く解説する。また,受講者は,耳慣れないオーガニック・コスメティックやコットンについての疑問を質問形式で説いていきます。(渡邊記)

講師:渡邊浩幸教授(高知県立大学)

講師:渡邊浩幸教授(高知県立大学)

受講者の感想

本日最初の講義第1部{特別講義(第4回)}では,渡邊浩幸先生が「食品と健康について」話されました。講義は自分の体を知る上でとてもいい内容で,食品から得られる,人間に必要な栄養素についてでした。栄養とは,身体に必要な物質を体外から取り入れ,健康を維持・促進するために利用することだそうです。そして体外から取り入れる物質を栄養素といいます。ここで大切なことは,食品の中に含まれるのは栄養ではなく栄養素であり,栄養素を取り込むことを栄養といいます。私たち動物は,栄養素を他の動物,水,植物,微生物,から摂取し,食物連鎖を形成して,それぞれが生命を保ち,子孫を繁栄させて行きます。食物連鎖では連鎖を続ける意味を知ることが大切だと思います。どこが欠けても連鎖することが難しくなます。また,この食物連鎖の中には,“強すぎる生物,弱すぎる生物はいない”ことに感慨深いところがあります。一定のバランスを維持できない生物は,自ら食物連鎖から外れ,自滅してしまいます。自然の状態では,生物にとって,自分より強い,自分を捕食する側の生物がいる事が,捕食する側の生物と同等に重要ということを学びました。また,生物は食物連鎖の中で様々な栄養素や物質を得ながら,代謝(同化と分解)を行います。口から得た食べ物は,体内で自分の身体と入れ替わり続けます。その事を考えると,人間という1つの生物はその他,何百万種もの生命と同時に生きているのだなと思い,不思議な気持ちになります。こうした生命観は,多くの研究者の苦労の結果,行き着いた答えだと思いますが,もしかすると「無宗教の国でしか受け入れがたいものなのかも」と思いました。科学と化学は神に近づきたい一心から始まりましたが,宗教の文化圏ではいったいどれほど距離を縮めることを許してくれるのでしょうか。とても興味深いです。これは,世界で食品や環境を理解する上で根底となる知識が,共有できるのかという問題に関わります。想像以上に根深い問題のような気がしました。講義中の話しでは,ベジタリアンの話しが出ました。日本人の半分の人は植物だけでは生きていけないそうです。理由は,身体に必要なビタミンB12は植物には含まれないからです。ビタミンB12は微生物によってつくられるので,ベジタリアンは抜け道として海藻を取る方法があります。因にモンゴルの人は野菜だけで生きていけるそうです。その理由は,遺伝子レベルの違いで,必要な栄養素に僅かな違いを与えるからです。講義では,サラダ油と天ぷら油が日本人の心理から生まれたという話がありました。商売戦略から分けられた話しや,アリシンとビタミンB1を合わせたものが,タケダ製薬からでているアリナミンだといった貴重な話を聞けました。

 

 

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講義第2部{特別講義(第4回)}では,人が消費するエネルギーの話しからダイエットの興味深い話しが聞けました。人が消費するエネルギーは,大きく分けて3つあり,「基礎代謝/生活活動代謝/食事誘導性熱産生」ということを学びました。基礎代謝は寝ていても消費し,呼吸や内臓などをはじめとした生命維持のためのエネルギーを指すとのことです。生活活動代謝は,歩いたり仕事をしたり,スポーツ・エクササイズなどいった活動することで消費するエネルギーのことを学びました。そして食事誘導性熱産生は,食事をするときに消費するエネルギーで,DITと呼ばれます。この人が1日に消費するエネルギーの割合は,基礎代謝が7割,生活活動代謝が2割,食事誘導性熱産生(DIT)は1割だそうです。体を動かして消費するエネルギー量は,意識して動かしてもたいして消費できません。ラクしてダイエットするにはDITを意識して高める方が簡単だそうです。例えば冷たいものより温かい食べ物を食べたり,香辛料が効いたものを摂ると消費エネルギー量が増えるそうです。講義では女性の方がなぜ長生きするかという話しがあり,老化促進の原因となる酸化ストレスを女性の方が軽減しやすく,体内の鉄分が深く関係しているそうです。更年期を迎えるまでの女性には生理があり,定期的に血液中に含まれる鉄を放出しているので,男性と比べ体内に鉄が蓄積しにくく,その有害作用を回避できるとのことです。逆に男性は,生活面で活性酸素が発生しやすい状況にあり,女性と比べ酸化ストレスによる老化促進から寿命の短縮が起こりやすいそうです。なぜ,女性の方が長生きなのか,はっきりした理由はいままで聞いた事がなかったのですっきりしました。今回の講義でも生活に密着した興味深い話が,ここまでに上げた話し以上に沢山ありました。特に胎児期の子供の話しは興味深いものでした。それは,胎児期の栄養不足によって,小さく生まれた赤ちゃんは,大人になってから,高血圧や心臓病,糖尿病などの成人病のリスクが高くなる,というものです。これは成人病胎児期発症説という学説でイギリスのサウザンプトン大学医学部のデイヴィッド・バーカー教授が20年ほど前から提唱し始めた説です。大人になってからなぜ成人病のリスクが高くなるかというと,例えば胎児の腎臓が作られていくある特定の時期に,栄養不足が起こると,腎臓糸球体の数が少なくなります。いったん減った腎臓糸球体は,再び作られることは無いので,生まれてからずっと負担を抱え,胎児期から何十年も経ったあとの病気のリスクに繋がるそうです。今後のためにとてもいい話しが聞けました。今日の講義は面白い話が沢山あったのでもっと時間をとって聞きたいと思いました。

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本日最後の講義第3部{第6講(第4章)}は,「ワイン、化粧品、アロマ、繊維製品などの安心安全について」の講義でした。 授業の中で出てきたお酢の化学構造式CH3COOHの話しはとても新鮮でした。普段口にするお酢がこんな数字とアルファベットだけで表記できる事が目新しく,興味深かったです。化学構造式だと,他の食品の式を並べた時に関係性が垣間みれ,普段目にする食品名とは違った見方ができます。食品以外にもオーガニックが関わる物は多く,植物が原材料として関わるものが身の回りに多いことに気づかされます。特に化粧品は肌に触れるものなのでもっと詳しく聞きたいと思いました。参加者に女性が多いのでぜひともオーガニックを踏まえた上で化粧品についての講義を別コースで設けて頂きたいです。

今回の授業を受けて,私はオーガニックや環境について多くの人が共感するために何が必要か気づきました。それはオーガニックや環境に関する知識を専門的ではなく横断的に体系づけて説明する事です。専門的な解説だけでは,どうしてもその分野から外れた解説が曖昧であったり,迷信めいていたり,聞いている方が理解しがたく,勝手な解釈を進めてしまいます。このオーガニックや環境に関する知識や理解は,日本だからこそ共有しやすい,新しい未来の叡智であると私は思います。学校教育で,理科や数学,国語,社会のように分断された教育が行われるから,学校での勉強が社会に出てから何の役に立つのか分からない児童を生んでしまうのです。本来,学習と生きていくことは切っても切れない関係のはずです。もし人間が生きていく事に学ぶことが必要なければ,学習する行為は生まれなかったでしょう。オーガニックや環境に対する理解は生きていく事と分断して行うことができません,だからこそ,そこに新しい日本の教育モデルの未来があるように思います。オーガニックや環境に対する知識は,これからの社会を考えて行く上でとても重要です。なぜなら社会や国民の健康と安全は文化,農業や産業まで,国の安全や経済にまで深く関わります。そういう意味でプランツアカデミーができることは,とても大きいように思います。

講師:渡邊高志教授

講師:渡邊高志教授