知的認識システム開発研究室

【室長 竹田史章教授 平成24年度よりシステム工学群竹田研究室に移行】

学習する機械で地域の産業をより豊かにしたい。

「運転のくせ」を学習するシステム

人間の脳神経メカニズムをモデル化し、コンピュータ上で行わせるニューラルネットワークは、問題と正解を与えて学習を繰り返すことで、より正確で柔軟な判 断ができるという特長を持っている。竹田史章教授は、このニューラルネットワークと最先端の画像認識技術を活用して、医療用食事摂取量計測システムや紙幣 識別システムなど、さまざまなアプリケーションを開発してきた。大手自動車メーカーと共同で、運転者の状態を「優良」から「異常」までの5段階で識別でき る基礎技術の開発にも成功。運転手の状態を自動識別することにより、より高度な運転支援の可能性を拓いた。また運転のくせによって運転しているのが所有者 かどうか判別できれば、盗難防止にも役立つ。クルマのインテリジェント化に大きく貢献する画期的な研究成果と言える。

研究・活動実績(プロジェクト例)

●ニューラルネットワークの産業応用、貨幣識別(研究から設計)
●DSPによるボード設計
●認識問題(個人認証)
●企業における研究・開発・設計の連携指導
●システム設計
●産学共同研究・開発の実務者への指導
●産業機器のインテリジェント化
●各種監査装置などの実証機の開発
●工業部品の人に代わる監査システムの研究
●自己学習型知的貨幣識別手法の研究とその実システムへの移植研究開発
●生体情報を用いた個人認証システムの研究とそのプロトタイプの開発
●知的画像認識による食事摂取状態のレベル分類システムの研究と開発
●ニューロ応用による搬送物自動監査システムの研究と開発
●青果物・魚類の選別の知能化と機械化
●インテリジェント搬送メカニズムの研究と開発

研究進捗状況

●ドライバー状態識別システム:トヨタ自動車との共同研究 (H16年度~H18年度)
特許1件譲渡/特許1件共同出願/国際会議投稿(トヨタ自動車との共同発表)/第2次実車テスト(高知工科大学:トヨタ自動車)
●いりこ選別装置
平成17年度地域研究開発促進拠点支援(RSP)事業に採択
●食事摂取量計測システム
四国厨房との共同研究/産学共同シーズイノベーション化事業(JST)に採択/特許1件
●飲料用自動販売機の紙幣識別機海外展開への技術指導:サンデン株式会社(※カーエアコンおよび飲料用自販機の大手企業)
従来技術とニューロ技術の比較およびニューロ技術の優位性を確認/次ステップ以降は実機搭載のための技術フォロー/第一ステップではPCによる優位性確認実験を指導
●病院内における認知障害者の起床検知システムの開発:石原産業グループ(※高知県の最大手私立病院の介護機器納入企業)と共同研究
●特許出願/東海理化とラベル監査システムの共同研究

研究室長から

私たちの記憶は、大脳内の個々の神経細胞が結びつき、それぞれの神経細胞間に強弱の信号が流れることによって成り立っています。つまり、「学習する」とは、神経細胞間を流れる電気信号の調整を行うことであると言えます。この脳による記憶と学習のメカニズムを工学的に”再現”したのが、人工知能の一つであるニューラルネットワークです。
たとえば、コンピュータに農水産物(米、いりこ等)の画像を入力することにより種類の選別を可能にする-。私たちが行っている研究開発にもニューラルネットワークが活用されています。ニューラルネットワークを用いた識別は、あたかも人間が視覚を用いて行うかのような柔軟性を持っていることが大きな特長です。