高知県のある中山間地域における 住宅の室内環境とエネルギー消費量の分析

高知工科大学紀要 第13 巻1号 2016.7.29 より

田島昌樹, 河田浩太朗

要約 高齢者のエネルギー使用量は在宅時間が長いことから平均値よりも多いと言われており、高齢化率が高い高知県においても、重要な課題の一つである。くわえて高知県では住宅のエネルギー消費量や室内環境に関するデータがほとんどなく、これらの蓄積も求められている。そのため本稿では高知県内で人口減少と高齢化が進んでいる中山間地域にある S 地区を対象とし、住宅に関して建築環境工学的視点からの現状把握を目的として、エネルギー消費等に関するアンケート調査(50件でうち 12 件が詳細な光熱費データを取得)と室内環境に関する実測調査(高知市を含み夏期 4件、冬期 5 件)を行った。調査から、高知市と比較して、冷房のエネルギー消費が少なく、暖房と給湯のエネルギー消費が多い結果を得た。また室内環境の実測から夏期は高知市よりもエネルギー消費が少ないながら涼しく暮らすことができ、冬期については、高知市の倍以上の暖房エネルギー消費があるにもかかわらず室温は低く、一定の課題がある結果となった。高知市と比較して夏に涼しく、冬に寒いという S 地区の気候特性を考慮した断熱対策が望まれる。

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