高知工科大学紀要 第14巻1号 2017.8.31 より


渡辺菊眞
要約 本稿は、香美市土佐山田町中後入に立地する、金峰神社の社殿再建プロジェクトの実践記録である。金峰神社は中後入の谷間地区の氏神であり、本殿の棟札から遅くとも江戸中期には当地に鎮座していた神社であることが確認できる。また明治初期には 9 戸の氏子が存在していたことが村誌に記されている。しかしながら近年の過疎化のなかで、氏子は次々とこの地を去り、現在は 1 戸を残すのみとなってしまった。それに伴い社殿の維持も困難になり、2015 年の大雨により、社殿は傾き崩壊の危機にさらされるに至った。金峰神社社殿再建プロジェクトは、この緊急事態に陥った社殿を再建し、氏神として復活維持していくことを目指すものである。また、それと同時に同様な状況にある過疎の氏神復興と、その継続維持のための有効な手がかりのひとつとなることも祈念されている。