防災拠点としての里山の役割

高知工科大学紀要 第17巻1号 2020.12.15 より

高木方隆

要約 近年、 地震だけでなく豪雨による災害も頻発している。 西日本豪雨による被災状況を見ると、 災害の発生は土地利用自体にも問題があったことが認められた。 例えば、 ハザードマップで浸水域とされた地域が、 都市計画では用途地域に指定されていた。 また、 果樹園や人工林では、 発生件数が非常に多く、 災害リスクが高くなっていた。
筆者の里山暮らしの経験から、 自然をうまく生かした里山暮らしは、 防災力の高い暮らし方と言え、 災害時の拠点として多くの機能を備え持つことが分かった。 防災という切り口で里山暮らしのメリットを整理し、 里山を維持する意義を示した。
様々なリスク回避のためには、 里山暮らしに戻る世帯も必要である。 防災だけでなく、 2020 年2 月より問題となっているウイルス感染に伴うパンデミックの際にも里山暮らしは安心である。 地方自治体は、 移住促進事業を展開しているが、 里山暮らしを希望する世帯は少ない。 したがって防災における第二拠点としての里山の整備が求められる。

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