高知工科大学紀要 第18巻1号 2021.12.28 より

井上喜人, 大谷絃太, 竹内伸幸, 西村滉平, 高木方隆, 西内裕晶
要約 本稿は高知県香美市土佐山田町佐岡地区に位置する里道において設置した階段の計画・測量・設計・施工の手順を記録する。佐岡地区には様々な里道が張り巡らされており、特に対象とする里道は、金峰神社と仮拝殿を結ぶため金峰神社の例祭や参拝、大学関係者による研究などで必要不可欠となっている。しかしながら、急勾配な箇所や落ち葉などによる足元の視認性が悪い箇所、岩肌が多く足の踏みどころがない箇所が見られ、安全性に欠ける点が問題となっている。そこで、設置する階段を設計するにあたって3 つの条件を設定した。具体的には、降水時の里道上での水路確保、次に低コストで景観考慮を兼ねた地場材の使用、維持管理の簡略化である。また、施工手順をマニュアル化することで、階段の拡張や修繕時の再現性を確保した。これらを踏まえた2020 年度の取り組みでは、24 段の階段が竣工し、対象地点において周囲との景観の調和と安全性を確保できた。