里山研究フィールドにおけるUAVを用いた1年間の植 生フェノロジー観測の試み

高知工科大学紀要 第17巻1号 2020.12.15 より

村井亮介, 高木方隆, 浅沼祐介

要約 フェノロジーは、気候変動に対応する生物反応の中で、最も顕在化し易く観測し易い現象である。そこで 2019 年 4 月より、UAV による植生観測を月に 2・3 回行っており、1 年分の観測データを蓄積してきた。しかし UAV による撮影画像は天候の影響を受けるため、観測データを使用するには、光源特性に応じた補正が必要である。そこで、光源の種類が少ない曇りの観測シーンを用いて、樹種毎のフェノロジーの特徴を観察した。まず、フェノロジーを観測するために、明度補正として、天空率補正と基準木を用いた明度の正規化を 17 シーン行った。次に補正後のオルソ画像を用いて、フェノロジーによる経時変化量による RGB 各バンド間相関画像を作成し、樹種分類を試みた。結果は、落葉樹や常緑針葉樹、竹類といったバンド間の相関係数が近しいグループの分類はできたが、樹種毎の分類は出来なかった。しかし、季節毎に変化するフェノロジーの特徴は捉えられており、季節や月を考慮した樹種分類等、今後の課題が見つかった。

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