高知工科大学紀要 第16巻1号 2019.7.31 より

中野慎梧, 前田康佑, 赤塚慎
要約 「里山基盤科学技術の社会実装モデルプロジェクト」の一環として、高知県香美市にある里山において林地内外の気象環境の実測調査を行った。今年度の調査では、昨年度の実測調査から使用している自記録式気象観測ユニットに加え、自作した気象ステーションを用いて林地内の気象環境を測定した。その後、林地内外の気象観測データを比較することにより、林地内外での昼夜の気象環境の傾向や気温と標高、降水量、風速との関係について分析した。
林地内の気象環境を測定するためには、標高や周囲の植生の違い等を考慮するために気象ステーションを複数台設置することが望ましいと考えた。そこで、温湿度計と放射シールドからなる簡易な気象ステーションを自作し、林地内に複数台設置した。
林地内外の気象観測データを比較したところ、林地内では、林地外に比べ日中は気温が低く、夜間は気温が高い傾向にあることが明らかになった。また、林地内では、標高が高いほど、日中の気温は低く、夜間の気温は高い傾向にあること、降水が観測されている時間帯や風速が大きい時間帯では、林地外と林地内の気温差が小さくなる傾向にあることがわかった。