自然エネルギー利用による香美市の中山間地域 における収容可能世帯数の推定

高知工科大学紀要 第13 巻1号 2016.7.29 より

木場雄亮, 赤塚 慎, 高木方隆

要約 本研究は、香美市の中山間地域を対象として、木質バイオマスエネルギーと水力エネルギーを利用してそこで生活する場合に、その地域で供給できるエネルギー量と一世帯が生活するのに必要なエネルギー量との関係からその地域の収容可能世帯数を推定することを目的とした。木質バイオマスでは、森林の間伐材で建材として使わない部分を利用し、台所で調理用に使用する熱エネルギーを賄うことを想定した。流域毎に 1 年間で利用可能なバイオマス量を推定し、その量から年間期待確保熱量を推定した。その後、年間期待確保熱量と現在一世帯が台所で調理用に使用している年間エネルギー消費量とから各流域の収容可能世帯数を推定した。水力では、各流域の河川でマイクロ水力発電を行い、各家庭の電気使用量を賄うことを想定した。各流域の河川において流速を計測し、河川流量を推定した。その値から 1ヶ月間の発電量を計算し、一世帯あたりの電気使用量と比較した。その結果、各流域で 30 世帯分以上の調理用熱エネルギーを木質バイオマスエネルギーで賄うことが可能であったが、マイクロ水力発電では、1 世帯分の電気使用量の 2~3 %しか賄うことができないことが明らかになった。

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