地域情報化サイクル研究室

【室長 菊池豊教授 平成27年度よりスケールセンシティブ地域産業研究室に改称】

情報流通の地方分権、インターネットの再グランドデザインをめざす

問題をはらむ情報の一極集中

インターネットの普及により、首都圏をはじめとする大都市圏と地方の情報格差は格段に狭まったと言われる。しかしこうした声とは裏腹に、情報インフラ、技術、情報発信力などあらゆる面で、首都圏への「情報一極集中」は進行しているのが実情である。現在、e-mailをはじめとする情報の大半は東京・大阪にあるIX(インターネット通信の交換所)を経由して送受信されている。このことはリスク分散の面で問題があるだけでなく、地域情報化におけるあらゆる層の調和した発展の障害ともなっている。
本研究室は、早くからこの問題を指摘し、インターネットにおける地域指向型トラフィック交換モデルの研究開発を進めるとともに、「四国広域分散IX検討会」や「高知県情報生活維新協議会戦略プロジェクト枠地域情報インフラに東京同等の競争力を与える高知IX検討ワーキンググループ」等での活動を通して情報流通の地方分権とインターネットの再グランドデザインに携わってきた。

地域IXサービスを開始

そこで菊池教授は本研究室を開設するとともに、2004年に有限会社ナインレイヤーズを設立し、高知県内のISP(インターネット接続業者)を対象に「高知IXサービス」を開始した。同社のサービスを利用することにより、ISP業者は、地域内におけるスループット(単位時間内における処理能力)の向上、トランジットの共同購入・トランジット軽減によるコスト削減などのメリットを得られる。しかし最も重要な意義は、地域IXによって高知県内のISPが中央の大手ISPの“傘下”に甘んじることなく独立性を獲得し、真の意味での地域情報化の第一歩を踏み出せることにある。有限会社ナインレイヤーズはその理念として以下を掲げている。
●ビジネス・雇用の生成を伴う地域情報化
●田舎からのインターネットの再グランドデザイン
●民間事業による納得・身の丈事業展開

研究・活動実績(プロジェクト例)

●条件不利地域におけるブロードバンド整備
●地域情報通信インフラの整備・運用と利活用
●地域IXの構築と運用
●50年使える地域住民主体の小水力発電
●地域コンテンツの流通を促進するための情報インフラとビジネスモデルの研究
●地域間相互接続実験(RIBB-llプロジェクト)
●MPLSを用いた広域分散IX技術(distix-llプロジェクト)

研究室長から

地方情報インフラ振興の拠点として、地域が必要とする技術を示し、地域の人材が交流する場を 形成し、地域で自立・自律した情報ネットワークの実運用を行うととをめざしています。これにより将 来、インターネット構造が大きな変革を遂げ、地域社会の発展や熟成に資するための土壌を育みた いと考えています。
さらに、地域においては再生可能エネルギーが脚光を浴びています。これも地域が地域のために 地域の資源をどう利活用して行くかの恰好の題材です。我々は、地域版スマー卜グリッド技術をはじ めとする地域指向技術の研究開発を通じて、小水力発電をはじめとする再生可能エネルギーを広域・自律・分散した形で地域で実現していきたいと考えています。