高知工科大学紀要 第15巻1号 2018.7.31 より

渡辺菊眞, 赤塚 慎, 楠本 建, 毛利匡志, 依光剛志, 田島昌樹
要約 本稿は、高知県香美市の中山間地域に立地する古民家周辺の環境が人体や建築物に与える影
響について把握することを目的に実測調査を行い、熱的安全性について検討を行ったので報告する。
現在の古民家は躯体の木材で腐朽が著しく目立つようになっており、居住者がいないことや雨漏り、
森林などによる多湿の影響が一因だと考えられる。また古民家周辺で作業をする人々の利用できる
休憩スペースがほとんどない。そのため夏期には熱中症などの危険性が考えられることから一時的
な避難場所となる東屋モデルの建設を行い、東屋モデルとその周辺の環境測定を行った。周辺環境
である微気候を測定するために東屋モデルの近くに自記録式気象観測ユニットを設置し、気象庁の
地域気象観測システムの測定結果と比較を行い、作業者の熱的安全性および古民家周辺の地域特性
の把握を試みた。