高知工科大学紀要 第14巻1号 2017.8.31 より

河田浩太朗, 田島昌樹
要約 既築の住宅のうち、特に昭和 55 年以前に建てられた古い住宅におけるエネルギー上の課題として、十分な断熱化がなされていないため、現行の省エネルギー基準に従って建てられた住宅と比較して、過大なエネルギーが消費されていることが挙げられる。このようなエネルギー負荷を低減するためには、建物内の暖冷房された空気を逃がさず、また日射や自然風を活用できるようにすることが望ましく、そのためには建物の高断熱化や日射遮蔽の徹底、およびエネルギー使用機器の高効率化が重要である。
本研究では、高知県の中山間地域にある S 地区を対象とし、築 110 年の古民家の省エネルギー改修に関する事例調査を通じて改修によるエネルギー消費量の削減や室内環境について検討を行なった。エネルギー消費量の計算から、省エネルギー改修を行うことにより 45.4%の削減ができ、太陽光発電を含むことで 57.1%の削減ができる結果を得た。また改修後の住宅の実測結果から、住宅の性能が高いことから省エネルギーで、かつ衛生的な空気環境での運用が期待できる結果を得た。