佐岡地区中後入における歴史景観の調査 —歴史分析から読み解くムラの暮らし—

高知工科大学紀要 第16巻1号 2019.7.31 より

楠瀬慶太, 大西悠, 岡崎廉, 三島宏太, 渡辺菊眞

要約 本稿は、香美市土佐山田町佐岡地区に位置する大字・中後入を対象に、その歴史的景観を調査・記録したものである。歴史的景観を読み解く手法としては、古文書などの文献の読解という日本史学の方法論と、古老への聞き取り調査という民俗学の手法を複合的に利用している。このような歴史分析によって、ムラの変遷や暮らしを時代ごとに明らかにしている。すなわち、戦国期以前の 4 集落が江戸期に中後入村として統合され、江戸期には長距離用水路の開削により田畑の拡大、戸数の増大が進んだ。明治初期には現在につながる村落景観がほぼ形成され、山林、田畑が広く土地利用されたが、1970 年代以降、耕作放棄や植林化、人口減少が進み、現在に至っている。

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