佐岡地区の水文環境調査

高知工科大学紀要 第16巻1号 2019.7.31 より

岡田渓佑, 高橋遥, 秦啓, 高木方隆

要約 高知工科大学院工学研究科基盤工学専攻社会システム工学コースでは、「心豊かな社会」の実現をテーマに「里山基盤科学技術の社会実装モデルプロジェクト(通称:佐岡プロジェクト)」が始動している。本調査では、地域の水資源把握のため、拠点となる古民家周辺の水文環境を調査した。調査内容として、地温測定、新規ボーリング掘削、塩分濃度計を用いた水路の水漏れ調査を実施した。その結果、2017 度のデータも含めた 3 時期分の地温測定結果より、地下水のおおまかな流れを可視化した。また、2017 度同班で示されていた地下水位の不自然な下降速度の変化について、ボーリング柱状図との関係から、その特徴は地質に依存していると推察した。塩分濃度計を用いる事で、表面水の流下方向を確認する事は可能であったが、水路からの水漏れか否かの判断は困難であり、湧水地箇所の特定にはいたらなかった。今後も、地温測定調査と地下水位観測を継続し、データを蓄積していく必要がある。加えて、水漏れ調査手法の改善を行い、水脈探査を進めていく事で、災害リスクの検討や農業への活用に役立てることを目指す。

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