高知工科大学紀要 第15巻1号 2018.7.31 より

天羽朝陽, 若林寛和, 西内裕晶
要約 本稿では中山間地域である高知県香美市土佐山田町佐岡地区の里山・集落間に張り巡らされ
ている里道を対象に、GPS ロガーを用いて得た里道の経路データから里道ネットワークとしてデー
タベースを構築した。中山間地域の集落では山林を開拓し、人々の生活が営まれてきた。里道は生
活を営む人々にとって重要な経路として里山・集落間に張り巡らされている。現代では、生業の変
化や少子高齢化が進み、その維持管理が難しくなった里道の消滅が進んでいる。本稿では、消えゆ
く里道をデータベース化することで、将来の里道の維持管理を検討するための基礎的な情報を整理
した。加えて本稿では、データベース活用の一例として里道ネットワークの最短経路を解析した。
その結果、XYZ 座標の三次元データにより正確な距離の算出が可能となり、さらに里山の有効利用
に向けてデータベースの活用は有用であることが示せた。今後は構築したデータベースに地域のつ
ながりに関する歴史情報を追加し、対象地域の里道ネットワークの使われ方を考察する。