佐岡地区における里道ネットワーク解析—明治里道の再現と経路比較—

高知工科大学紀要 第16巻1号 2019.7.31 より

宮本森孫, 中村晋作, 西内裕晶

要約 本稿は高知県香美市土佐山田町佐岡地区における里山や集落間に張り巡らされる里道に着目し、GPS ロガーを用いて現地踏査から得られる経路データから里道データベースを構築する。加えて、デジタル地番図や古地図を用いて明治時代における当該地区における里道を再現した。里道は里山での生活を営む佐岡地区の基盤であり、長い年月をかけて形成されている。しかしながら少子高齢化と共に過疎化が進み維持できなくなっているのが現状である。筆者らの 2018 年度研究では、その里道をデータベース化することで、将来の里道の維持管理を検討するための基礎的な情報を整理した。本稿では、未取得であった西後入経路データを現地踏査により取得した。さらには里道の歴史的変化を考察するために、一部地域において明治時代の里道の再現を試み、現在の里道と明治里道の経路の比較考察を行った。その結果、移動経路とその所要時間が各時代で算出可能になった。これにより将来の里道の活用や維持管理のあり方について、歴史的な変化に基づく考察が可能になることが期待できる。

⇒報告書PDFを開く